表皮水疱症(EB)
難治性皮膚疾患の一つである表皮水疱症の患者様にとって、水疱やびらん周辺の脆弱な皮膚の保護や感染症への対応、滲出液の管理は非常に重要です。
約50万人
表皮水疱症(EB)は、小さな水疱ができる程度の軽症から、体内の粘膜にまで水疱やびらんができる重篤なものまで症状は様々です。 例えば、固形食品は口や食道に壊滅的な影響を与えることがあります
病因
表皮水疱症(EB)は、主として先天的素因により、日常生活で外力の加わる部位に水疱が反復して生ずることを主な臨床症状とする一群の疾患である。
表皮水疱症は、表皮真皮境界部においての水疱発現の部位によって以下の4種類に分類されます
- 単純型表皮水疱症 — 比較的軽症なタイプです。 単純型表皮水疱症は、擦り傷の部位に水疱が発生し、通常、上下肢に影響を与えます。 これは、表皮のケラチンに影響を与えます。
- 接合部型表皮水疱症は、出生時より症状が発現、重篤であり、摩擦部位に水疱が発生します。症状は難治性であり、治癒後に皮膚萎縮を起こします。 このタイプは、ラミニンおよびコラーゲンに影響を与えます。
- 栄養障害型表皮水疱症 — 症状は軽度から重篤な事例まで幅広く、難治性で治癒後に瘢痕を残すケースもあります。 栄養障害型表皮水疱症は、コラーゲン産生に影響を与える遺伝子変異によって引き起こされます。 一般的な合併症としては、栄養失調、貧血、難治性掻痒症、疼痛、感染症および臨界的定着があります。
- キンドラー症候群 — 診断が難しい稀な表皮水疱症です。 これは、表皮真皮境界部においての水疱発現の部位に関わらず、遺伝子の突然変異によって発症し、水疱、表皮萎縮、治癒遅延が生じます。 外部からの刺激による水疱やびらんなどの症状は早期から発生し、新生児期の皮膚欠損や創傷と並んで罹患率が高いことが知られています。
患者のQoLに与える影響
表皮水疱症の治療法は確立されていないため、表皮水疱症患者のケアは対症療法に重点が置かれています。
表皮水疱症の患者様は、日常的に痛みや不快感に苛まれており、強いストレスにさらされることがあります。 表皮水疱症の患者様は、それらの皮膚症状や合併症のため、皮膚を傷つける可能性のある活動を制限されているケースや入退院を繰り返すこともあります。
表皮水疱症は患者様本人だけではなく、その家族の生活に影響を与えることもあります。 出来てしまった水疱は、注射針などで水疱に穴をあけて水を抜き、ドレッシング材で保護する必要があります。 症状によっては入浴やドレッシングの交換のために、何時間もかかることもあります。 症状が重症化した際には、入院して鎮痛剤、抗生物質の投与が必要になるケースもあります。
管理
表皮水疱症の皮膚症状は、患者さまによって大きく異なります
- ドレッシング材 — 皮膚は非常に脆弱であり、ドレッシング材の頻繁な交換が必要になることもあり、さらなる損傷、疼痛や出血を防ぐため、非固着性のドレッシング材の使用をお勧めします。 創部接着面にシリコン製粘着材を使用したドレッシング材は、従来のドレッシングよりも交換が簡単です
。 また、創部および創周囲の皮膚を保護し、創傷治癒に好ましい環境も作り出します 。 - 感染管理 - 広範囲の創傷は、感染リスクが高くなります。 感染症の管理には、保湿剤、および局所治療薬が必要になる場合があります
。 - 水疱管理 — 表皮水疱症の水疱を放っておくと大きくなった水疱が破損する可能性があるため、慎重な管理が必要です
。 破損していない水疱は、組織の損傷を最小限に抑えるために、水疱の底部をで注射針で穿刺する必要があります 。 滅菌スワブまたはガーゼなどで水疱を軽く押すことで、水を抜くことができます。 - 水疱やびらんなどの創部に貼ってあるドレッシング材がずれると、脆弱な皮膚が裂傷し、創部が衣類または寝具に貼り付く可能性があります
。 そのため、創部に直接貼ってあるドレッシング材を固定する必要があります。 このドレッシング材は、創傷部への圧迫やずれ、水疱の拡大を避けるため、普段からの活動を妨げないようにする必要があります 。 チューブ型包帯を使用することができます 。
表皮水疱症治療の将来
表皮水疱症の新たな治療方法が常に開発されています。 現在、完治させる治療法はありませんが、幹細胞研究、遺伝子研究、および骨髄移植などが研究されています。
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'References'